渋井式クロスファイア

野球観戦記。他いろいろ。

【322】個人的、「見てて楽しい野球」・「見たくなる野球」と、「面白みを感じない野球」。

最近強く思うことがあるので執筆。

 

 

こんにちは。渋井です。

書きたいときに書く、それでいいじゃないですか。

 

2020年シーズンは不規則な形ながら6月19日に開幕、現在シーズン120試合が予定されているうちの半分、60試合強が消化された。私が贔屓にしているライオンズは現在リーグ5位。'18年・'19年と連覇した勢いは萎れ、シーズン序盤には苦しい試合が連続。先発投手陣の度重なる炎上、かつて全国を恐れさせた打撃陣もリーグ平均レベルへ。8月27日には、'19年MVPの森友哉が試合後に号泣するなど、ファン以上に選手の心労は限界に近付くほど、チーム事情は崩壊している。

もちろん低迷には理由はある。'18年には「3番・二塁」と攻守の要・浅村栄斗、絶対的エースの菊池雄星、チームの精神的支柱の1人であった炭谷銀仁朗が、'19年にも「1番・中堅」で数年に渡りフルイニング出場を続けた秋山翔吾がチームを離れた。'18年に最多勝を獲得した多和田真三郎は病気療養に入り、'19年の後半戦から全盛期ばりの活躍で4番に座った中村剛也もケガにより今季途中から二軍調整中。これだけの主力が短い間隔でいなくなっても、チームが本来の姿を見せられるのであれば、恐らく2年連続でCS敗退などしていない。長年チームが抱える「痛み」が、そこにはある。

 

 

 

辻発彦監督が就任した'17年、チームはリーグ2位でシーズンを終えた。この年ドラフト3位で獲得した源田壮亮が「2番・遊撃」に定着、攻守に新しい風を吹き込み、'13年から続いたライオンズの遊撃手レギュラー争いに終止符を打った。その反面、'15年にはその遊撃手としてレギュラー争いに参加していた外崎修汰が外野手に挑戦、同じく遊撃手候補から本格的に外野手に転向し、'16年に盗塁王を獲得した金子侑司、'14年に2桁本塁打を放った以降活躍が少なくなっていた木村文紀等、外野手のレギュラー争いが激化。'16年以前までのチーム状態が最悪に近かっただけに、CSで敗れたとはいえ未来への希望も大きく残った1年だった。

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翌'18年。「秋山・源田・浅村・山川・森・外崎・栗山・中村・金子」の打線は、最早説明不要の山賊打線。'17年に築き上げた地盤の中から、源田・外崎両名がしっかりその地位を確固たるものにしてみせた。投手陣も、移籍・途中加入組の榎田大樹・小川龍也・D.ヒースらが奮闘。菊池・多和田の左右両看板と、高卒2年目にして初登板・初勝利を果たした今井達也らが打線が取る点以上に取られることなく、勝ち試合を作り上げた。'17年→'18年は、野上亮磨・牧田和久・B.シュリッターと投手陣の退団が多かった年だったが、なんとか再建に成功。「再建」と言うか、なんか別の大きな建物を造っちゃった感じか。

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そして'19年。先述の通り投手・打撃・守備の要を一斉に失った1年。新しいレギュラー選手の台頭が急務の中、1年を通して誕生した新顔レギュラーは木村文紀くらいのもので、他の選手のレギュラー定着どころか、起用自体もほぼ無く1年を走り抜けた。厳密に言えば、この年の序盤は「1番・金子、3番・秋山」の新打順を試していたが、これが両者の不振により不発。この頃にはブログを書いていなかったので文献(?)が無いのは残念だが、起用法が変わっただけで、特に若手育成に注力しているようには感じられない1年間であったことは間違いない。しかし、その中で'19年もリーグ優勝を果たす。浅村の抜けた二塁手には外崎が定着。外崎が守っていた右翼手に木村が入り、400打席以上をこなし5年振りの2桁本塁打を記録。シーズン中盤からは中村の打撃が最高潮。この年も本塁打王を獲得する山川穂高を押し退けて4番を打つようになり、打点を量産、打点王にまで輝いた。岡田が怪我で離脱した影響でシーズン後半のホームベースををほぼ1人で守り抜いた森が、疲労も積み重なる中首位打者を獲得。1番に戻った秋山は最多安打を獲得し、金子も2度目の盗塁王を獲得。野手の主要タイトルを総なめした。

一方、菊池が抜け、多和田を欠いた先発投手陣はほぼ全滅。規定投球回に達した投手はまさかの0。高橋光成がなんとか10勝したが、シーズン終盤に離脱。今井達也も7勝9敗と2つの負け越し。前年11勝の榎田大樹、人的保障で獲得し期待された内海哲也は最早どこへ行ったのか。この年獲得した新外国人のZ.ニールが17登板で12勝の安定感を見せたのが唯一の癒しだった。その結果、負担は全て中継ぎ陣へ。'18年は不調だったクローザーの増田達至が65試合に登板し30セーブと見事復活。さまざまな起用をされた平井克典は143試合中81試合に登板。シーズン後半には高卒2年目の平良海馬が豪腕を披露。先発の早期降板時を中心に複数イニングをこなす佐野泰雄らの奮闘により、なんとか致命傷を緊急治療し続けた。

 

 

 

そして'20年。ここまで3年間ほぼ固定されたレギュラーメンバーの勤続疲労に加え、秋山翔吾がメジャー挑戦のため退団。'18年のブルペンのヒーローだったK.マーティン・D.ヒースも退団し、さらに選手層が薄くなった。ブルペン補強のためには、ドラフト1位で宮川哲と、新外国人のR.ギャレットを補強。秋山の穴を埋めるべく、C.スパンジェンバーグを外野手として補強。先発投手には、ドラフト2位の浜屋将太、新外国人のS.ノリンに加え、'19年ドラフト1位の松本航の成長や、今井・高橋・本田圭佑らの更なるステップアップ等、さまざまな期待の中2月1日のキャンプインを迎える。しかし、新型コロナウイルスの流行により3月後半の開幕は延期。当初の予定では、2020夏季五輪東京大会のためのシーズン中盤の調整が不安視されていたが、それ以上に厳しい環境が訪れた・結局、シーズンの開幕は当初の予定から3ヶ月遅れ、6月19日に開幕。大移動によるウイルス感染拡大を防止する観点から、パ・リーグは1週間に同一チームと6連戦を戦う対戦カードが組まれた。開幕カードの3連戦を除き、ホーム6連戦・ビジター6連戦を各1周ずつ。これが結果的にはライオンズを強く苦しめることとなる。

 

まず、毎週必ず週6日の試合をやるため、先発投手が6人必要になる。例年だと週5試合の週が短めの間隔であったりするが、今年は雨天中止が無い限りは毎週6連戦。投手事情が苦しいライオンズにとっては、まずこれが大きな打撃となる。先発投手が早くに打ち込まれてしまうと、中継ぎ投手の負担が多くなる。仮に勝ち試合に持ち込めたとしても、大差がついていたり、先発投手が8回・9回と投げ進めない限りは、「勝利の方程式」の出番もおのずと増える。所謂「パターンピッチャー」の頭数も、この6連戦続きには求められる事となる。ライオンズで言えば、9回を投げる増田達至は確定。8回は新外国人のR.ギャレットが担当することもオープン戦のうちに決まり、7回を平良海馬・平井克典で分担するような形を想定していたと思われる。ここに、宮川哲ら新しい選手の台頭で、リリーフ運用に余裕を持たせたい。

続いて、野手にかかる負担も考慮しないといけない。普段から6連戦を行ってはいるが、同一チームとの6連戦に於いては特に影響を強く及ぼすポジションがある。捕手だ。対戦する投手は毎回変われど、打者は6試合連続でスタメンに名を連ねることも少なくない。そうなれば、捕手は6試合全てに出場し続ければ、同じ選手と6日連続で顔を合わせ、配球しなければならなくなる。抑えているならまだ良いが、打たれ始めたら考えないといけない。しかし、投げる投手はライオンズ投手陣。指示通りに投げる制球力を必ずしも持ち合わせているとは、お世辞にも言えない。同じ捕手でも、ライオンズの捕手は恐らく12球団の中で1番の激務だろう。だとすれば、負担軽減のためには複数人の捕手を日替わりで起用するべきだろう。

他のポジションでも同様である。ベテランの栗山巧中村剛也両名はもちろん、厳しい夏場の6連戦なのだから、「負担軽減」という起用法は確実に必要となるだろう。その時に、レギュラー争いが生まれていればチームとしては相乗効果がある。「レギュラーを休ませる」だけの名目で起用される選手と、「レギュラーになる可能性」を求められて起用する選手には、モチベーションに大きな差がある。ベンチ入りするだけで、試合には起用されない日々が続けば、その辺りの管理も難しくなるだろう。もちろん、ライオンズの場合、熊代聖人という絶対的な「サブ・レギュラー」が存在する。外崎・スパンジェンバーグのユーティリティ性と併せれば、誰を交代しようが守備位置に困ることは無い。心置きなく選手を交代できる環境は、熊代の存在のおかげで出来ている。積極的な選手交代を求めたい。

 

 

現在、9月9日。「同一カード6連戦」は8月18~23日の対オリックス6連戦を以って終わった。6月19日の開幕から8月23日までの同一カード6連戦期間中予定されていた57戦のうち、3試合の中止があり、54試合を終えて23勝29敗2分。例年通りの「同一カード3連戦」を戦うようになった8月25日から今日9月9日までの13試合、8勝5敗。

これは、3連戦になった影響ではない。8月25日以降、中村剛也・鈴木将平・木村文紀が怪我により二軍降格、森友哉栗山巧も体調優れず休養日が多く設けられている。8月26日には源田壮亮も「相手先発投手との相性」を理由にスタメンを外された。レギュラー選手以外を起用せざるを得ない環境が出来たところで、チーム状態が上向き始めている。8月27日にはドラフト5位ルーキー・柘植世那が初スタメンで初ホームランを放てば、続く29日にも第2号ホームラン。9月8日には高橋光成とバッテリーを組んだ岡田雅利が8回まで無安打に導くリードと、執念の先制点を呼び込む内野ゴロ間の打点を挙げ、バッテリーでお立ち台に上がった。リリーフも、開幕からフル回転していた平良海馬・R.ギャレットの安定感が欠け始めたところに。火消し役として宮川哲、パターンピッチャーとして1イニングを森脇亮介が担当する場面も増えた。平井克典は8月20日に「ブルペンデー」の1番手として先発登板したが、ここで5回無失点の好投を見せ、新たな可能性を示した。9月10日には3回目の先発登板が決定しており、まさかのローテーション入り。その他現在のローテーションには、9月2日に5回無失点でライオンズでの初勝利を挙げた移籍2年目の内海哲也、怪我で開幕に出遅れた新外国人のS.ノリンが安定。日曜日を担当する松本航も、8月の防御率は1点台と以前までの不安定さは無くなりつつある。

 誰が開幕前にこんなローテーションを想像したか。ましてや、これが安心して見られるだなんて、とてもじゃないけど考えられない。

 

本日、水曜日。ライオンズ・内海哲也の本拠地初登板。内海とノリンの日は、柘植がマスクを被る。森の状態は心配だが、「森1人が全てを背負わなければいけない」ことは無い。攻守に存在感のある選手だからこそ、悪い時に目立ってしまうのは仕方ない。必ずチームにとっては必要な戦力。だからこそ、大切に扱って欲しい。壊れないように。怪我しないように。それを無視してフル出場させるのは、ベンチの怠慢と言うほか無い。勝つも負けるもベンチ次第。尽くす手を尽くした上で、結果を出すのが選手です。スタメン起用・代打・代走・守備固め、盗塁・バント・エンドラン、継投・続投・回跨ぎ・連投、選手のパフォーマンスを最大限発揮できる場所を見極め、一番得点できる方法、一番失点しない方法を遂行して欲しいものです。今はこれだけデータがそろっていますし。データを集めるには、起用しないことには始まらないですけどね。その上で勝利を観戦できたら、これほど楽しいことは無いです。