渋井式クロスファイア

野球観戦記。他いろいろ。

【341】最強の矛と盾 vs 最強の矛と盾【日本シリーズ2023】

表現の自由

 

 

こんにちは。渋井です。

日本シリーズ閉幕。2023年のプロ野球、完全終了です。

 

阪神タイガースの皆様、阪神タイガースを応援する皆様、38年振りの日本一達成、本当におめでとうございました。第7戦まで死闘を繰り広げた熱戦続きの1週間、興奮続きでした。順番に振り返っていきましょう。

 

 

阪神タイガース vs オリックス・バファローズ

ホークスの前身球団「南海」が関西に本拠地を構えていた59年前以来の日本シリーズでの関西球団同士の対決。「関西ダービー」とも呼ばれ西日本を中心に注目を浴びた今年の日本シリーズ。球団ごとの注目点は「動かない阪神」と「動くオリックス」と言った印象。スタメンを固定し、控え選手の役割を明確にし、どっしりと構える岡田監督。日ごとにスタメンを替え、ベンチ入りメンバーをフル回転して戦う中嶋監督。ここが明確に違う点と感じていました。逆に言うとそれ以外は、強固な投手陣と堅守で1点を守り抜く王道野球は似通うものもある気がしていました。

 

 

第1戦 阪神 8-0 オリックス

第2戦 阪神 0-8 オリックス

衝撃の幕開け。第1戦オリックスの先発・山本由伸が、CSでの乱調に続き2試合連続でKO。特に先制点のシーンは、阪神5番・佐藤輝明の単打から初球で盗塁を仕掛け、7番DHに起用された渡邊諒のタイムリーで先制したが、岡田監督の采配の鋭さが光ったシーンとなった。めっちゃ「動く」やん。対して阪神先発の村上。シーズン同様に安定した投球で、7回2安打無失点の快投。阪神にとっては最高の滑り出しとなった。

続く第2戦。今度は阪神先発・西勇輝オリックス打線に捕まる。この日スタメンに起用された9番・廣岡大志の安打から、こちらも第1戦はベンチ入りすらしていなかった2番・西野のタイムリーで先制。次のイニングにも2アウトから四球・安打でランナーを溜め、8番・野口、9番・廣岡、1番・中川の連続タイムリーで加点。先発・宮城は昨日の山本の借りを返すかのような熱投で6回無失点。終わってみれば前日のスコアを逆にするオリックスの勝利。完全にわからなくなった。

 

第3戦 オリックス 5-4 阪神

舞台を甲子園に移した第3戦。京セラドーム大阪は阪神の主催試合も開催される球場のため応援の声量は5分、と言った感じだったが、甲子園はもう別格。スタンド内330°くらいは阪神ファンで埋め尽くされたような感覚でした。オリックス先発は今季6勝無敗の東晃平。2回にピンチを迎えるも、2Bゴンザレスの好守もあり最小1失点で抑える粘りの投球を見せると、4回に頓宮の一発で同点、5回に阪神先発・伊藤将司のエラーも絡み3点の追加点。阪神は7回にオリックス3番手・山岡を攻め3点を奪うも、4番手・宇田川の見事な火消しに沈黙。最後は5番手・平野佳寿から2つの四球をもぎとるものの、4番・大山が空振り三振でゲームセット。

 

第4戦 オリックス 3-4 阪神

オリックス先発は山崎福也、阪神先発は才木浩人。この日は序盤から点の取り合いになる。1回裏に阪神が3番・森下のタイムリーで先制。2回表に6番・紅林のタイムリーで同点。2回裏に1番・近本のタイムリーで再度阪神リード。その後は両投手ともランナーを出しながら粘りの投球を続けていたものの、5回裏にバント処理をエラーした山崎福也が降板。2番手を受けた比嘉が阪神のクリーンナップを3人打ちとるものの、このゴロ間に1点を失い2点ビハインドの展開に。それでも7回表、先頭打者の打球を3B佐藤輝明がエラーすると、6回から登板していた阪神2番手・桐敷を攻め、2番・宗佑磨の同点タイムリー。この日3三振だったこともあり、投手交代のタイミングで一緒に交代される佐藤輝明が不安になる展開だったが、これを全て払拭したのが4番のバットだった。3-3で迎えた9回裏。1アウトから1番・近本が四球で出塁すると、オリックス6番手・ワゲスパックが痛恨の連続暴投。塁を埋め満塁策をとった中嶋監督だったが、4番・大山の前進守備の三遊間を抜くサヨナラタイムリーで決着。この試合あたりから結構采配に関する議論がTwitterでめちゃくちゃ散見されるようになったし、自分も結構思うこと多かった気がする。まずいつも通りバント多すぎ。あと7回の桐敷続投。「代打の代打」安達。そして最後の満塁策。こういう議論が出来るのが野球観戦の醍醐味でもありますよね。

 

第5戦 オリックス 2-6 阪神

そしてこの試合も、様々な「if」が生まれる試合となる。オリックス先発は田嶋大樹。初回に2番・中野の犠打の打球処理を失敗し大ピンチを迎えたものの、最後は三振ゲッツーでこのピンチを0で切り抜けると、そこから徐々にギアを上げ続け、7回83球無失点の「超」好投。オリックス打線は阪神先発・大竹から4回にゴンザレスのソロホームランで先制、7回にも阪神の守備の乱れから追加点を獲得していた。注目の8回裏。マウンドには2番手・山崎颯一郎が登板。実は山崎は3・4戦目はコンディション不良のためベンチを外れていた。一抹の不安がよぎったが、その不安は最悪の形で的中。先頭打者の高いバウンドのゴロを2B安達が悪送球。続く代打・糸原の巧い安打でチャンスを広げ、1番・近本のタイムリー。2番・中野が送ったところでオリックスは山崎を諦め、3番手に3日連続登板となる宇田川を投入。しかし、3番・森下へのラストボールはC若月の要求とはかけ離れ、痛恨の逆転タイムリーを浴びる。4番・大山もタイムリーで続き、宇田川もKO。4番手・阿部も7番・坂本にタイムリーを浴び、終わってみればこのイニングだけで6得点の猛攻。8回も田嶋が続投なら。回頭から宇田川だったら。安達のエラーが無かったら。オリックス的には後味の悪すぎる敗戦で、阪神の王手を受け本拠地へ。

 

第6戦 阪神 1-5 オリックス

第1戦と同じ先発投手での再マッチアップ。山本・村上は同級生対決でもあったんですね。この試合の先制も阪神。第4戦から5番に打順を上げていたノイジーがライトスタンドへ一発。続く6番・佐藤輝明にもツーベースを浴び、一気に山本由伸への不安が押し寄せる。なんとかこの回はホームランの1点のみに抑えたものの、「まさか」の展開だった。しかし、直後の2回裏、このシリーズ好調の6番・ゴンザレスの安打から、ケガを押して強行出場に踏み切った7番・杉本のツーベースでチャンスを作ると、9番・若月の同点タイムリー、1番・中川のあとわずかでホームランという犠牲フライで逆転。絶対的エースに援護を送る。山本は相変わらずランナーを出しながらの展開が続くも無失点で堪え続けると、5回裏に3番・紅林のツーランで再援護。ここからの山本はまさに「圧巻」の投球。7回を終えて100球を超えてはいたものの、もはや関係なかったね。8回・9回もマウンドに上がる姿は、チームに勇気を与え続けた背中そのもの。138球の完投劇で逆転王手。第7戦へ、いざ。

 

第7戦 阪神 7-1 オリックス

阪神先発はシリーズ初登板の青柳。第6戦に村上の後を継ぎ第2戦先発の西勇輝が登板しており、第3戦先発の伊藤、第4戦先発の才木がリリーフ待機する盤石の構えで今季の開幕投手を最終決戦のマウンドへ送る。対するオリックスの先発は第2戦先発の宮城。両先発がエース対決のように0を並べる序盤の展開に、息を飲んだ野球ファンは多かったのではないでしょうか。試合が動くのは4回表。3番・森下の安打から、2球で追い込んだ4番・大山に痛恨の死球を当て、5番・ノイジーが低めのボール球の変化球を上手く救い上げると、この打球がレフトスタンドへ。2試合連続となるノイジーの一発には阪神ファンをはじめセ・リーグファンから驚きの声多数。143試合を戦ったレギュラーシーズンで9本塁打の成績を見れば納得の反応だったか。続く5回にもピンチを作り、2番・中野の併殺性の打球がリクエストにより1塁セーフとなり、再び右打者が並ぶクリーンナップに回るところで2番手・比嘉にスイッチ。しかしこの継投が誤算で、3連続タイムリーを浴びる痛恨の3失点。大勢は決した。青柳は5回途中無失点で降板すると、ワンポイントの島本を挟み3番手・伊藤将司が3イニング無失点の快投。最後は頓宮の意地の一発を受けるものの守護神・岩崎が締め日本一確定。中身のある試合続きの見ごたえのある日本シリーズでした。

 

 

終わってみれば4勝3敗の「ほぼ互角」の戦い。しかしその1勝の差が明暗を大きく分けることになります。1つのプレー、1つのアウト、1つのストライクの大事さはこういう大きな舞台の試合だと痛感しますね。とても面白かったです。また来年。ライオンズくんはこの舞台に次いつ立てるでしょうか。それでは。